キプロス島はユーロゾーンのメンバーであるが、経済規模は多くの問題を抱えるギリシャの10%未満、ドイツの1%未満でありGDPは約€180億である。失業率は22%でありEU内で最も高い値である。キプロス島の人口は80万人、国が抱える債務は国内GDPの80%である。
多数のオフショア金融セクターが進出しているキプロスの根本的な問題はギリシャのソブリン債務危機に巻き込まれていることである。ギリシャ債務に投資したキプロスの銀行はギリシャが2度目のEU/IMF救済資金を確保した際に債権者に強制された資産評価切り下げによりかなりの打撃を受けた。
長期借り入れコストも完全に維持不可能なレベル(12%)に達している。キプロス島はEUパートナーに救済資金を要求し€170億(国のGDPとおおよそ同額)を今月末に受け取る予定である。この金融ライフラインを受けなければ早くも2013年3月に債務を果たすことができなくなってしまう。
また、キプロスの銀行はマネーロンダリングに利用されないための特別方策に合意することになるだろう。これはドイツにとって特に重要な関心事のようである。キプロスの銀行によるベイル・イン(債権者による救済)の話もあったようだがこれは預金者が損失を負担することを意味する。ベイル・インに対する不安でかなりの預金がキプロスの銀行から出金されたが、ベイル・インは実現しそうにないようだ。(初回救済資金の条件として他の資金救済受給者に必要とされていなかったから)
キプロスの経済規模および他のEUメンバー国へのエクスポージャーが比較的小さいため、救済資金が確保されなかった場合にキプロスがユーロから強制的に追い出されるという話もあったそうだが明らかに、どの国であろうとユーロゾーンから追い出されるような事態が生じた場合、統一通貨の耐久力への信頼がかなり失われてしまうため、(特にその値段の低さを考慮すると)何をしてでも避けたい事態であることは確かである。